日本で歴史の浅い低用量ピルは婦人科で処方

1960年にアメリカで経口避妊薬としてピル「エナビッド10」が許可されてから、ピルの歴史がはじまりました。これをきっかけに、ピルによる避妊が世界で一斉にスタートしたのです。現在の低用量ピルと比べると、ホルモンの量が数倍から数十倍で、胃腸障害、静脈血栓塞栓症などのリスクがあり、長期服用には適さない薬品でした。それらの副作用を改善したものとして、1973年に低用量ピルが発売されました。
世界各国で望まない妊娠から解放される方法として選択されてきたピルですが、日本でピルが許可されたのは1999年のことです。一説には、日本の婦人科の歴史の早期に、法律的に中絶が許可されていたということが原因であるといわれています。ピルよりも中絶の方が身近にあり、ピルがもつ副作用のイメージが中絶を選ばせたのでしょう。当時、国連加盟国で低用量ピルが承認されていなかったのは日本だけでした。
ピルとは、もともと体内で作られるホルモンで構成されており、毎日1回服用することで排卵を抑制し、子宮内膜の増殖を抑える効果のあるものです。ほぼ100%避妊することが可能で、現代に多いPMSや子宮内膜症の治療にも効果があると考えられています。中絶による、身体的・精神的負担とは比べ物にならない、安全性のある薬です。
このように効果のある薬の許可が遅れた日本では、婦人科治療の歴史は浅いということができるでしょう。低用量ピルについて十分な知識があり、適切な扱いができる婦人科もまだ少ないと考えられます。特に、産科を専門としている病院では、生理周期の安定のための服薬や、PMSの治療については理解が得られないかもしれません。専門的な知識をもつ婦人科やレディースクリニックなどで処方してもらうと良いでしょう。